分身ロボットOriHime(オリヒメ)、入院中の遠隔授業だけに使うのはもったいなさ過ぎる【逆転人生・吉藤健太朗】

日々進化する新しい技術

SkypeやZOOMなどを利用した、場所や距離を越えたビデオ会議。FacebookのMessenger機能やLINEでのグループトークを使った、それまではEmailを使っていた煩雑な複数名間での連絡のやり取り。こういった技術は、あまり先端技術を知らないシロウトの私でも使うような、一般的なものになってきたものだと思います。

更に、それを超える画期的な技術が「ごく一部」で公に利用されようとしています。

入院中の遠隔授業、教員いなくても単位 広島の県立高

(https://www.asahi.com/articles/ASMCL7F67MCLPITB019.html)

広島県教育委員会は、病気で長期入院中の高校生について、タブレット端末などで授業を受ければ、病室に教員が付き添っていなくても単位を認める方針を固めた。近く、すべての県立高校に通知を出して運用を始める。遠隔授業については、文部科学省は教員がそばにいることを条件に出席と認めてきた。同省も要件の緩和を検討しているが、広島が先に学習機会の拡大に乗り出す。

 県教委の通知案は、小児がんの生徒を対象にしている。緩和の条件は、双方向性の高いICT(情報通信技術)機器を使って、病室と学校の双方のコミュニケーションがとれ、直接連絡もできる▽生徒は教員の指示に従う▽医師、看護師ら第三者が授業の様子を一定観察できることが柱になっている。

 文科省の2013年度の調査では、病気やけがで年間30日以上入院した高校生は全国に1124人いた。同省は15年4月、卒業に必要な単位の半分未満を上限に、双方向型の遠隔授業を認めたが、「原則、受信側に教員を配置する」との留意事項を付けていた。


(朝日新聞デジタル)
広島県教委が今年度から導入した分身ロボット「OriHime」(オリヒメ)

分身ロボット“OriHime”で、私が素晴らしいと感じたのは、(現時点では)顔は能面のようなひとつの表情でしかありませんが、腕や顔の動きで喜怒哀楽や様々な感情表現を見事に表現し、使用しているうちにだんだんとOriHimeが相手本人そのものに見えてくるということです。

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開発は「オリィ研究所」

OriHimeを開発したのは、オリィ研究所

HPを拝見したところ、

子育てや単身赴任、入院など距離や身体的問題によって行きたいところに 行けない人のもう一つの身体、それが「OriHime」です

「誰かの役に立つことをあきらめない」
「寝たきりで声を失っても会話できる」
「今の自分に合った働き方ができる」

OriHimeは、距離も障害も昨日までの常識も乗り越えるための分身ロボットです。

「オリィ研究所」代表・吉藤健太朗さんはどんな方?

この画期的な分身ロボット「OriHime」を開発したのは、「オリィ研究所」代表取締役の吉藤健太朗さん(32歳)。

(出典:https://www.timeout.jp/)

1987年11月18日生まれ、奈良県出身。

吉藤健太朗さん自身が、極度のコミュニケーション障害で、小学校5年生から中学2年生までの3年半、不登校・引きこもりを経験さたそうです。

その間、部屋ではひたすら、お祖母様に教わった「折り紙」に没頭していたそうです。

OriHime(オリヒメ)のネーミングの由来は、当時没頭していた「折り紙」とのこと。

ご自身がコミュニケーション障害で不登校を経験されたことが、様々な事情で人とコミュニケーションを取ることができない多くの人々の社会参加を可能にするための、情熱の原動力になっているのだと思います。

不登校を経験した中学時代、「ロボフェスタ関西2001」で準優勝を獲得したのを皮切りに、奈良県立王寺工業高等学校、詫間電波工業高等専門学校・情報工学科、早稲田大学創造理工学部へと進学。

吉藤健太朗さんは、
青年版国民栄誉賞「人間力大賞」、
スタンフォード大学E-bootCamp日本代表、
AERA「日本を突破する100人」など、各界から注目を集め、

更に2016年にはアメリカの経済誌「フォーブス」で、田中将大さん、錦織圭さんと並んで、「アジアを代表する30歳以上の若きリーダー」に選ばれています。

現在はデジタルハリウッド大学大学院特任教授にも就任されています。

「孤独の解消」を人生のミッションに掲げる吉藤健太朗さん。

人工知能(AI)全盛の世の中、吉藤健太朗さんはインタビューの中で、このようにおっしゃっています。

つらい孤独から救ってくれたのは家族、友人、先生などの“人”だった。
確かに人工知能は人の生活を便利にはするだろうけど、人の孤独は癒せないのではないか。それができるのは人しかない。

人工知能で都合のいい新しい友達を作るのではなく、人と人のつながりこそが孤独の解消に繋がるのではないかと思った

(出典:https://www.okamura.co.jp/)

(出典:https://www.okamura.co.jp/)

OriHime(オリヒメ)の名前の由来でもあり、吉藤健太朗さんが不登校時代にひたすら没頭した折り紙作品。

特技の折り紙が、他人とご自身との距離を縮め、のちに吉藤健太朗さんのコミュニケーション障害を克服するきっかけにもなったそうです。

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“人々の社会参加を妨げている課題を克服するためのツールです”

世の中には、重度の障害で意思伝達が困難な方、病気以外にも様々な理由で通学が困難な方が多くおられます。
今回広島県で導入が始まったことは画期的なことだと思いますが、
・「病気で長期入院中の高校生」限定
・「小児がんの生徒を対象」
・「原則、受信側に教員を配置する」
…と、まだまだ条件・制約が多い。

ビジネスの現場でも、より存在感があり、感情豊かな表現ができるOriHimeの可能性は、Skype等のビデオ会議よりも更に距離を感じさせないツールになるものだと思います。

もちろん、ビジネスの現場では、「分身ロボット」頼りではなく、人と人とがじかに接して、「相手を知る」ことが必要なことも多いと思いますが、実際に相手を十分に知った後であれば、OriHime使うことで会議等のために時間や場所を決め、そのための移動や場所代を払う必要がなくなる。

教育現場においても、通学のための移動時間、若年層特有の残酷で煩わしい人間関係から開放されることは、まさに画期的なテクノロジーだと思います。

教師が教師をいじめる、絶望的な世の中

本来であれば、「指導者」の立場である教師が、あろうことか教師間で暴言・暴力・いやがらせといった、低レベルないじめをするという、絶望的なニュースが昨今世の中の多くの人を呆れさせました。

こういったことも、もしかしたらやはり「氷山の一角」であって、「学校という閉鎖的な社会」の中では、教師達、生徒達の間で、何が起きているのかは、外から本当のことを窺い知ることはできないのです。

それであれば、人間的にも教育者としても優秀な教師に、OriHimeを使って頂き、距離も場所も越えて多くの子供達を指導してもらうほうが、はるかによいのではないでしょうか。

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OriHimeは救世主になりうるのではないか

ビジネスや教育現場において必要になる、無駄とも思える時間やカネ。煩わしく、時に信じがたい事件すら起きる社会の中で、分身ロボットのOriHimeは救世主になりうると私は思います。様々な不便・不都合・無駄・理不尽さを省く、画期的な技術。

やっと広島という1県で公的に採用されたとはいえ、日々進化していくテクノロジーが世の中に広まるのが、この国では時間がかかりすぎなのではないかと思うのは私だけではないでしょう。

せっかくの素晴らしい技術は、可能な限り全方位で使われるべきと思います。